入院給付金や手術給付金、診断給付金などの生命保険の給付金は非課税になることをご存知でしょうか?ここでは、がん保険で支払われる給付金を非課税で親族に受け取らせ、相続対策として活用するスキームについて説明していきます。
1.生命保険の給付金
生命保険の給付金について説明します。
1-1.保険金と給付金の違い
生命保険から支払われるものに「保険金」と「給付金」がありますが、一般的に、保険金は死亡保険金や満期保険金などを指し、給付金は治療費や療養費など、実際に発生した費用を補う性格のものを指しています。
1-2.がん保険の非課税給付金
がん保険の給付金の中で税金がかからない主な給付金は以下のとおりです。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- がん診断給付金
- 先進医療給付金
- 高度障害給付金
これらの給付金は、がん治療によってかかった治療費を補う目的の給付金で収入とみなされないため、非課税となっています。
2.給付金の受取人の契約形態による課税
給付金の受取人が被保険者の時と被保険者以外の時の課税の違いについて説明します。
2-1.給付金の受取人が被保険者(契約者:被保険者)の場合
被相続人の死亡後に、相続人に給付金が支払われた場合には、給付金の請求権を被相続人から相続又は遺贈により取得したものとされるため、相続財産となり相続税の課税対象となります。
また、この給付金には、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人)の適用がありません。
2-2. 給付金の受取人が被保険者(契約者:被保険者)以外の場合
被相続人の死亡後に、給付金として保険会社から被保険者以外の受取人に支払われた場合は、相続財産にならず相続税の課税対象になりません。
相続税のみなし財産となる死亡保険金は、被相続人の死亡に伴って支払われる死亡保険金に限られているため、死亡を伴わない給付金は相続財産にはならないのです。
また、被相続人が生存中にがんになり、被保険者以外の受取人に給付金が支払われた場合も贈与とみなされず贈与税はかかりません。
給付金が傷害や疾病その他の保険事故で死亡を伴わない場合は贈与とみなされないためです。
3.給付金の受取人の要件
受取人の指定は、基本的に二親等以内の親族と決められており、本人を基準に見て祖父母や孫までが範囲に含まれます。
また、給付を受けた後に被相続人が亡くなったとしても、その給付金は被相続人の相続財産とはなりません。
4.まとめ
がん保険を活用した相続対策について説明してきました。がん保険の給付金は、金額も多額になるケースも多いと思いますが、契約者(保険料負担者)が受取人でない場合でも、二親等以内の親族であれば非課税になります。
被保険者が受取人だった場合には、給付金の受領時には所得税は課税されませんが、被保険者が亡くなった時に多額の相続税が課税されてしまいますす。
しかし、例えば子供を受取人とするがん保険に加入し、死亡を伴わない給付金を受領した場合には、子供は非課税で保険金を受け取ることができ、節税することができます。
相続対策として、がん保険を検討される場合には、受取人は配偶者や相続人にすると良いでしょう。家族やパートナーとよく相談し、注意点なども考慮して受取人を決めることが大切です。この記事を参考に是非一度がん保険の活用を検討してみてください。