生命保険を使った相続対策|メリット・デメリットまとめ

生命保険は、誰でも簡単に活用できる相続対策の1つと言われていますが、デメリットについてはあまり触れられていません。そこで本記事では、生命保険を使った相続対策のメリットだけではなく、デメリットについても解説します。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

生命保険は誰でも比較的簡単に活用できる相続対策の1つと言われています。ここでは、相続対策として生命保険に入ることで得られるメリットやデメリットについてご紹介しますので、相続対策に生命保険の加入を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

1.相続税対策が出来る生命保険

生命保険を活用した相続税対策について説明します。

1-1.生命保険を活用するメリット

相続対策として生命保険に加入することで得られるメリットは5つあります。

  • 非課税枠が設けられている
  • 保険金で相続税の支払いができる
  • 保険料を支払うことで相続財産を減らすことができる
  • 遺産分割の争族を回避できる
  • 相続放棄した場合でも、保険金を受け取ることができる

1-1-1.生命保険の非課税枠の活用

相続税の計算において、生命保険の死亡保険金はみなし相続財産として扱われ、現金や預金などとは別枠で課税される金額の計算がされます。

非課税枠は、法定相続人の人数×500万円です。

相続人が子ども2人の場合は、非課税枠は2×500万円で1000万円ですので、相続財産のうち、1000万円を死亡保険金で受け取った場合は、そうでない場合に比べて1000万円も課税金額が小さくなります。

1-1-2.保険金で相続税の納税資金が確保できる

相続税は、相続開始時から10ヶ月以内に現金で支払うことが原則ですが、相続する現金が少なく、納税資金が確保できない可能性があります。

しかし、死亡保険金は被相続人が亡くなった場合に支払われるのものなので、納税資金が必要になったタイミングですぐに(一週間程度)入金される為、納税資金に充てることができます。

1-1-3.相続財産を減らすことができる

生命保険に加入すると保険料を支払うことになりますので、生前に相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。

1-1-4.遺産分割の争族を回避できる

相続人が複数いて土地や建物など不動産だけしか相続するものがない場合はもめることもしばしばです。

そういったときに生命保険をうまく利用すれば、不動産を相続する人が死亡保険金を受け取り、不動産を相続しない他の相続人に保険金の中から相続分に見合う金額を渡すといったこともできます。

1-1-5.相続放棄でも保険金を受け取れる

相続が発生して負債の方が大きい時、相続を放棄するケースがありますが、このような場合でも、生命保険の受取人はあくまでも相続人個人となりますので、死亡保険金を受け取ることができます。

2.生命保険を活用するデメリット

次に、相続対策として生命保険に加入した場合の4つのデメリットについて説明します。

  • 相続税以外の税金がかかる場合がある
  • 孫には保険金非課税枠が適用できない
  • 保険料が払えずに解約すると損をしていまう
  • 保険会社が破綻してしまう

2-1.相続税以外の税金がかかる場合

生命保険には保険料負担者によって相続税以外の税金がかかるケースがあります。

相続税以外の税金がかかるケース毎に解説していきます。

2-1-1.贈与税がかかる場合(死亡した本人以外が保険料を負担)

例えば父親が亡くなり、その妻(母親)が保険金を取得したが保険料は子供が負担していた場合、この保険金は「子供から母親への贈与」とみなされてしまいます。

母親は、父親の死をきっかけに保険金を受け取りますが、父親が払ったわけでない保険料に基づく保険金を受け取るわけなので、第3者からお金をもらった時にかかる税金、つまり贈与税の課税対象となります。

保険金の非課税枠は相続税にのみ適用されるもので、贈与税には適用されません。また、贈与税は税率が相続税より高い上に、基礎控除も受けられないので注意が必要です。

2-1-2.所得税がかかる場合(保険金の受取人本人が保険料を負担)

例えば子供が父親に生命保険をかけ、保険料を自分で負担して受取人も自分とした場合などの、保険料の負担者と受取人が同一の場合は、一時所得として所得税が課税されます。

この場合、父親が死亡した時の相続税と誤解されがちですが、これは子供が保険金を払い続け、父親の死をきっかけにその支払いを受けたにすぎません。

ただし、一時所得の場合は相続や贈与の場合と異なり、受取保険金そのものに課税されるわけではなく、負担した保険料から特別控除額50万円を差し引いた金額の1/2が課税対象となります。

2-2.孫には非課税枠が適用できない

生命保険の非課税枠は、相続人に対して適用されるので、孫は子供がいる場合には相続人に該当しない為、非課税枠を利用することができません。

かわいい孫のために、孫を受取人とした生命保険に加入したい気持ちは分かりますが、相続対策としては注意が必要です。

2-3. 保険料が払えずに解約してしまうリスク

設定した保険金額によっては毎月の支払保険料が高額になる場合があり、予期せぬ出費が発生した際に保険料が負担となり結局解約せざるを得ない状況になるおそれもあります。

早期に解約をした場合、支払った保険料より少ない解約返戻金となり損をしてしまうことがありますので、保険料の設定は余裕のある金額で行いましょう。

2-4. 保険会社が破綻してしまうリスク

万が一、契約した保険会社が破綻した場合は、責任準備金の90%程度しか保障されません。

したがって、契約時想定した保険金を受け取ることが出来なくなってしてしまう場合があります。

生命保険の活用をする際には、2社以上の保険会社で加入するなどのリスクヘッジ策をとっておくようにしましょう。

3.まとめ

相続対策に生命保険を活用するメリット・デメリットについて説明してきました。生命保険は相続対策に有効な要素の多いものであると言えますが、誰にでも有効なわけではありません。

家族構成や持っている財産の組み合わせも違いますので、どの財産を、どのように、いつ、誰に相続させたら良いかなど、バランスを考えながら慎重に検討する必要があるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket