相続対策|プロおすすめの生命保険の活用法

相続対策に生命保険が有効であることは知っていても、具体的な活用方法を知らないと最大限に生かすことはできません。この記事では、プロがすすめる生命保険の効果的な活用法について解説していきます。
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平成27年に相続税法の改定があり、相続税の課税対象となる人の数が大幅に増えたこともあって、相続対策に関心のある人も増えてきています。

生命保険が相続対策に有効であることは知っていても、具体的な活用方法を知らないと最大限に生かすことはできません。

この記事では、プロがすすめる生命保険の効果的な活用法について解説していきます。

1.生命保険で相続対策をするメリット

生命保険で相続対策をするメリットについて解説します。

1-1.生命保険の非課税枠

生命保険の死亡保険金には非課税枠というものが設けられています。非課税の限度額は「500万円×法定相続人の数」となっており、この生命保険の控除額によって相続財産の評価額を下げることができます。

例えば法定相続人が3人いた場合は「500万円×3人」=1,500万円の控除を受けることができます。

このように、現金でそのまま持っているとその金額が相続税の対象になりますが、生命保険の死亡保険金で受け取るとそれだけで控除を受けることができて、有利になります。

1-2.遺産分割

相続財産が現金や不動産などの場合はすぐに分割できず、争いの元となってしまうケースがありますが、生命保険の死亡保険金は受取人固有の財産であるため、遺産分割協議の対象外となります。また、受取人を指定することで遺言と同じ効果が得られますので、相続財産を分割しづらいときに活用できます。

1-3.納税資金準備

相続税は、相続が発生してから10カ月以内に現金で納めるのが原則となっています。

通常相続財産は、遺産分割協議が終わるまで凍結されてしまう為、受け取るまでには相当時間がかかります。

また、亡くなった人の銀行口座は凍結する為、銀行口座にお金があってもすぐにお金を受け取れません。

それに対して、生命保険の死亡保険金であれば受取人を指定していますので、書類を用意するだけで約1週間程度でお金を受け取ることができます。

2. 相続対策に有効な生命保険

相続対策に有効な生命保険を紹介します。

2-1.終身保険がおすすめ

生命保険には大きく分けて、定期保険、終身保険、養老保険がありますが、相続税対策として有効なのは、死亡時に必ず死亡保険金がもらえる終身保険です。

その中でも特に、支払っていく保険料を積み立てることが可能で何らかの事情で途中解約した場合でも返戻金を受け取ることができる、貯蓄タイプのものがおすすめです。

2-2. 保険料は一括払いがおすすめ

経済的に余裕のある人は、保険料の一括払いがおすすめです。

一度にまとめて保険料を支払うため、一時的な資金負担となりますが、一括で支払った保険料の分財産が減るので、課税対象となる相続財産を圧縮することが出来ます。

2-3. 生前贈与の活用

贈与税の年間一人当たり基礎控除110万円を利用して生命保険契約をするというものです。

契約者と受取人が子供、被保険者を親として終身保険(月払い、年払いどちらでも可)の契約をし、保険料は親から子供へ毎年110万円以内で贈与します。

こうすることで、毎年親の資産を子供に移転することが出来、かつ親が死亡した時には贈与した現金を上回る死亡保険金を受け取ることも出来ます。

3. 生命保険を活用する上での注意点

保険料の負担者と受取人によって、相続対策としての恩恵が受けられないパターンがあります。

3-1. 被保険者以外の人が保険料を負担していた場合

被保険者以外が保険料を負担していた場合、生命保険金の非課税枠は適応されません。例えば父親の保険料を息子が負担しており、受取人に母親を指定していた場合、死亡保険金の扱いは「父親から母親への相続」ではなく「息子から母親への贈与」とみなされてしまいます。

生命保険金の非課税枠は相続税に対して適用されるものです。上記のケースだと死亡保険金は相続ではなく贈与とみなされるため、非課税枠の対象外となってしまうわけです。

更にいうと、贈与税は相続税よりも割高で基礎控除もありません。上手に生命保険を活用した場合と比べると、圧倒的に損をしてしまうため注意しましょう。

3-2. 保険料負担者と保険金受取人が同一の場合

契約者と受取人が同一の場合も、非課税枠は適応されません。父親の保険料を息子が負担しており、受取人も息子の場合などのケースです。

この場合、死亡保険金の扱いは一時所得となり所得税の対象となります。やはり相続ではないため非課税枠の対象外となってしまいます。

3-3. 法定相続人以外の人物が受取人だった場合

死亡保険金の受取人が法定相続人ではない場合も生命保険金の非課税枠の対象とはなりません。

契約の際には法定相続人を事前に把握し、指定した受取人が法定相続人であることを確認した上で手続きをするようにしましょう。

4.まとめ

生命保険金の控除の仕組みを活用したいのであれば、死亡保険に加入しなければなりません。特に相続する側の子供から話を切り出す場合、親が亡くなることを前提にして話を進めなければならないため、切り出しにくいかもしれません。

しかしせっかくの仕組みを使わないのはもったいないです。生命保険の加入目的をはっきり伝え、死亡保険金を受け取った場合に税金の法律上の扱いはどうなるのか等、納得できるまで家族でじっくり話し合い、有効に活用しましょう。

きちんとした対策をするには、相続に関する正しい情報を得ることが必要です。この記事が相続対策の参考になりましたら幸いです。

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