女性向けの医療保険とは|保険選びや見直しの基礎知識

女性向け医療保険と一般の医療保険の違いに関して、公的医療保険制度を踏まえ、女性向け医療保険の特徴や加入の必要性やタイミングをお伝えします。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

皆さんは、「女性向け医療保険」というものがあるのをご存知でしょうか。男性向け医療保険はほとんど無いのに、女性には、女性向け医療保険というものがあり、女性は女性向けの医療保険に入った方が良いのか悩んでいる方はいませんか?

結婚せず独身の方もいれば、結婚をして妊娠・出産といったライフイベントを控えている女性の方もいると思います。今回は、一般的な医療保険に加えて、女性向け医療保険の特徴や、結婚・出産時等の医療保険の加入の必要性やタイミングをご紹介したいと思います。

医療保険とは、ケガの受傷や病気の発症により入院した際に、入院給付金や手術給付金をもらうことができる保険のことをいいます。

ケガや病気を発症した際の備えとしての医療保険ですが、医療保険に入る必要性はあるのでしょうか。そして、女性には女性向け医療保険という保険がありますが、この女性向け医療保険とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、一般的な医療保険をはじめ、女性向け医療保険について詳しく説明していきたいと思います。

そもそも医療保険って必要なの?

まず初めに、医療保険の話をする前に、医療保険って必要なのでしょうか。冒頭でも述べましたが、医療保険や生命保険は、万が一の時の時のための備えとなるものです。

日本は国民皆保険制度を取っているため、全ての人が何かしらの公的医療保険制度に加入しており、何かあった時には公的医療保険制度を利用することができます。そのお陰で、病院の窓口で支払う医療費の自己負担額は3割で済みますし、高額療養費制度では1ヶ月の自己負担額の医療費が高額になった場合は、上限額を超えた額は払い戻してもらうことができます。差額ベッド代や食事代は、高額療養費制度の対象外となりますので、自己負担額と差額ベッド代や食事代を貯蓄から支払うことができるのであれば、医療保険の必要性は低くなります。

しかし、子供の養育資金や老後資金などのために貯蓄を崩したくないという人にとっては、公的医療制度でカバーできない資金を補うためにも医療保険に入っておいた方が非常に安心であると言えます。

医療保険と一言で言っても、様々な医療保険商品が販売されており、その中で女性向けの医療保険があるのです。

女性向けの医療保険とは

一般的な医療保険と同じくケガや病気での入院保障に加えて、女性特有の疾病への備えを手厚く保障してくれるのが特徴の保険です。女性特有の疾病で入院した際の入院給付金の日額や手術をした際の手術給付金が他の疾病やケガが原因のときよりも高く、給付日数の上限が長く設定されているのです。

では、一般的な医療保険と、女性向け医療保険の違いに関してどちらを選択するのが良いのでしょうか。もう少し女性向け医療保険の特徴を説明していきます。

一般の医療保険との違いとは

保障内容について

一般の医療保険でも女性疾病はもちろん保障されます。それに対して、女性向け医療保険は、前述した女性特有の疾病に対してだと保障が上乗せされ手厚い保障が受けられるといった点が大きな違いと言えます。(例えば、何らかの病気で入院した際の入院給付金の日額が5000円だとすると、女性疾病の際は日額1万円となります。)

保険の主契約部分が女性専用に設定されており、または、女性特有の疾病特約が初めからセットになっています。

保険料について

女性向け医療保険は、前述してあるとおり医療保険に女性疾病特約が付いたものであるため、医療保険の本契約のみに比べると毎月の保険料は高めの設定になっています。

手厚い保障を受けられる女性特有の疾病とは何を言うのか

まず、対象となる疾病には、乳がん、子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症、流産、妊娠・分娩、卵巣機能障害、卵巣のう腫、甲状腺疾患、関節リウマチなどがあげられます。

乳がんは日本人女性が罹るがんの1位であり、日本人女性の約12人に1人が乳がんに罹ると言われています。芸能人の乳がんや子宮がん発症の公表により、がんの名前や怖さも周知されてきていますが、その一方で、バセドウ病や橋本病等の甲状腺疾患や関節リウマチも男性に比べると圧倒的に女性の罹患率が高く、女性特有の疾病の一つと言えます。このような様々な女性特有の疾病において、手厚い保障を受けることができるのです。

しかし、ここで注意が必要なのですが、女性特有の疾病で対象になる疾病は、各保険商品で異なるため、加入の際は保障内容をしっかりと確認をしてください。

一般の医療保険または女性向け医療保険、どっちに入るべき?

女性向け医療保険は、先ほども述べましたが本契約のみの医療保険と比べると、保険料も割高ですし、全ての女性が必ずしも女性向け医療保険に入った方が良いとは限りません。大抵の女性特有の疾病は、一般の医療保険でも保障の対象になっています。

どっちに加入するかは、目的や現在の環境、自身のニーズに合わせて選択すると良いでしょう。

一般的な保険を選択するのに向いている人、女性向け医療保険を選択するのに向いている人に関して、分けて説明致します。

一般の医療保険を選択する人とは

安く最低限度の保障を受けたいという人や、メインの保障を優先的に選びたい、他の備えも充実させたいといった自分のニーズに合った医療保険に入りたいという人は、主契約にプラスして特約を選択して付けることができる一般の医療保険に入った方が良いでしょう。

女性向け医療保険を選択する人とは?

1本契約することで、女性特有の疾病も、その他、入院や手術など幅広くカバーできるため、どの特約を付けたらいいのかと悩む人にとっては、女性向け医療保険が良いでしょう。また、これからの妊娠や出産、子育てなどのライフイベントを見越して準備をしつつ、今後のケガや病気に備えたりしたいと考えている人には向いている商品であり、多くの魅力を持っていると思われます。

女性が医療保険加入を考えるのにおすすめのタイミングってあるの?

医療保険の必要性を感じ、加入を検討している方がいらっしゃいましたら、今度は医療保険加入のタイミングをお伝えしたいと思います。

医療保険は、必要と感じたら保険会社と契約を結びいつでも加入することができます。しかし、女性においては、結婚・妊娠・出産などのライフイベントや年齢によって罹患率が高まる疾病などが存在しますので、加入を考えるのにおすすめのタイミングがあるのです。

では、その加入を考えるのにおすすめのタイミングを、ライフイベント別、年齢別でお伝えしたいと思います。

ライフイベント別での加入のタイミング

ライフイベントでは、「就職」「結婚」「妊娠・出産」後に検討すると良いでしょう。

就職後

就職して数年は、まだ貯蓄額も少なく、ケガや病気への備えは十分ではないと言えます。医療保険は、公的医療保険でカバーできない部分を補う保障でもあるため、今後起こり得るリスクへの備えとして医療保険への加入を検討する良いタイミングと言えます。

結婚後

結婚は女性にとって人生の一大イベントです。結婚すると住む場所や働き方、生活や趣味へかけるお金のバランスが大きく変化することとなるでしょう。よって、このタイミングで新たに保険に加入するか、また、すでに保険に加入している方は、共働きなのか専業主婦なのかで保障内容を変更する場合もあり、旦那様の医療保険の保障内容と自身の保障内容を合わせて見返し、保険の見直しをする良い機会であります。

妊娠・出産あと

幸せな結婚生活が進んでいくと、次にやってくるのが妊娠・出産です。出産は女性特有のライフイベントです。新しい命の誕生は非常に嬉しいことですが、出産にはお金が必要となってきます。自治体に申請することで助成金を受けることができますが、出産時の費用はもちろん、出産するまでにも定期健診や通院費用等の様々なお金がかかってきます。女性向けの医療保険に加入していれば、助成金で足りない分を、貯金を崩すこと無く補うことができますので、結婚をし、妊娠・出産を計画している方は、医療保険への加入を検討する良い機会です。

まず、出産にはいくらお金が必要なのか
  1. 妊娠期間中の妊婦検診:出産までに約14回の検診で10万円程度
  2. マタニティ用品や出産準備用品(オムツや洋服)の費用:5~10万円程度
  3. 出産費用:病院や部屋のタイプによって変動があるので、30~70万円程度

合わせると合計50~100万円前後の費用が、出産にはかかります。

自治体に申請することで受けられる公的制度とは
  • 妊婦検診にかかる費用に対しての助成金
  • 出産一時金(一児につき42万円の支給)
  • 出産手当金
  • 育児休業給付金

出産には費用がかかりますが、自治体に申請することで受けられる公的制度もあるため、それを踏まえて妊娠・出産におけるリスクへの保障を医療保険で備えるかは検討すべき点と言えます。

子供を望んでいる女性に知っておいてほしいこと

女性の場合は、妊娠中であると医療保険に加入できないという可能性もあり、保障が限定され、「部位不担保」という条件付きでの加入となってしまいます。

部位不担保というのは、「特定の身体の部分または指定の疾病については保障の対象外」となることです。帝王切開や切迫早産、流産、子宮外妊娠、妊娠中毒症、前置胎盤などがあげられ、これらの状態となっても保障の対象外となってしまいます。

近年は晩婚化の影響から高齢出産が増加傾向であり、それに伴い帝王切開手術などの妊娠・出産に関係するリスクが増加傾向であります。そのため、これから子供が欲しいと考えている方は、妊娠前に医療保険に加入しておくことで、部位不担保での条件付き加入を避けることができます。そして、最近は授かり婚も増えているため、医療保険の加入の検討はぜひともお早めに。

出産においての女性向け医療保険に加入していることでのメリット

晩婚化の影響で高齢出産が増えてきています。高齢出産では様々なリスクが増え、それに伴って帝王切開となる割合も増加傾向であります。自然分娩と比べると帝王切開は、手術費用がかかり、入院期間が自然分娩と比べると6~15日と長く入院費がかさみます。

また、帝王切開だけに限らず、切迫早産や流産、子宮外妊娠、前置胎盤などの異常分娩も医療保険の給付対象となっている商品も多くあります。定期保険としてその時期に合わせて保険に加入することも可能なので、計画的に保険を利用し、給付金をもらうことができます。

年齢別での加入のタイミング

年齢別では、年齢によって罹患率の高まる疾病があり、その疾病に対しての保障を充実させるためにも、医療保険加入の検討や見直しが重要となってきます。

20~30代

20代は貯蓄額も少なく、ケガや病気などの万が一の時に、貯蓄でカバーできる可能性が低いと思われます。そして、20~30代は妊娠・出産にかかわるトラブルも多く、子宮頸がんは20~30代でのがん罹患率1位となっています。女性特有の病気に罹るリスクも高まりますので、そのリスクに備える必要性が出てきます。そして、若いうちに終身保険に加入すれば保険料が安いというメリットもあるため、医療保険加入の検討をしてほしい絶好のタイミングであります。

医療保険には満期が決まっている定期型があります。20~30代では、出産・妊娠の可能性がある期間だけ、子供の養育にお金がかかる期間だけ、乳がんや子宮がんのリスクが高い期間だけ、などをその期間だけ万が一の時のために保障をつけたい、公的医療保険では補いきれない費用負担に備えたいという場合は定期型を選択してみてはいかがでしょうか。

40~50代

女性が罹りやすいがんの1位は乳がんであり、乳がんは40代後半~50代前半でピークを迎えます。がんは長期的な通院での治療になるケースや再発のリスク、保険適用外の治療など治療費がかかる疾患と言えます。

また、乳がんに罹患し、乳房切除をした場合、温泉に入れない、バランスが悪いといった不便さを感じる人も多く、乳房再建を行うことでこれらの精神面や肉体面での問題が改善することもあります。現在は、公的医療保険が適用され、費用負担は以前ほど大きくありませんが、乳房再建を受けた場合に給付金が支払われる女性向け医療保険や特約もあるため、保障内容の見直しを再度行ってみてはいかがでしょうか。

40~50代においては女性特有の疾患に罹る割合も高まりますので、女性向け医療保険に加入していることは非常に心強いかもしれません。

女性向け医療保険の比較ポイント

女性向け医療保険も様々な商品があります。基本的には医療保険を選ぶ基準と大きく変わりませんが、どの点に着目して選んだらいいのか分からないなんて人も多いと思いますので、比較のポイントをお伝えします。

①女性特有の疾病の保障対象範囲

A社では保障されるのに、B社では保障の対象外だったなんてことがあり、万が一の時に保障を受けることができないなんてことがあったら、せっかく医療保険に入っているのに意味がありません。甲状腺機能障害や膀胱炎、尿管結石、関節リウマチなどは対象外の保険もあるため、必ず確認をしてください。もちろん、保障対象疾病が多い方が安心ですよね。

②入院給付金が支払われる条件

商品によっては、短期入院でも給付の対象になったり、日帰り手術でも一時金が受け取れたりと違いがあります。また、1入院につき何日まで給付が受けられるのかといった点も保険商品によって異なってくるため、見比べてみてください。

③先進医療保障の有無

先進医療を受けた際に、給付金が支払われるかどうかも保険商品を比べる一つのポイントとなります。先進医療は、公的保障の対象とはならず、治療費は高額で患者の全額自己負担となるため、先進医療保障がついているのかはチェックしたい点です。先進医療保障が付いていれば、治療の選択肢の幅も広がりますよね。

まとめ

繰り返しになりますが、若いうちから気を付けたい女性特有の疾病や妊娠・出産に係るトラブルまで、幅広く保障を受けることができる女性向け医療保険はなによりも魅力的です。

今回、女性向け医療保険を中心にお話をしましたが、女性向けの医療保険の保障内容を知ることは、私たち女性の特有の疾病のリスクを把握し、今後のライフイベントを見据え、人生設計を考えていくこにも役立つと思います。老後のことまで考え、特に心配な病気は何か、どのような保障が必要なのか、よく考えて医療保険の加入や見直しをして頂けましたら幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket