個人年金保険は長い期間保険料を払い続けることになるため、ライフスタイルの変化によって解約せざるえないこともあるかもしれません。個人年金保険は解約してしまうと元本割れをしてしまう恐れがあります。そこで今回は解約せずにすむ方法について紹介します。
1.個人年金保険を途中解約した場合の3つのリスク
個人年金保険は老後の資金を準備するために保険で、生命保険や医療保険とは違い貯蓄に向いている保険です。この記事を読んでいる方の中にも、老後の資金を準備するために個人年金保険に加入されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。個人年金保険の保険金や年金の支払い開始時期は60歳以降のものがほとんどです。そのため個人年金保険の加入途中に、毎月の保険料の支払いが難しくなってしまったり、お子さんの教育資金や住宅購入の頭金が必要になってしまいままったお金が必要なったりと、解約をしなければいけない事態が起こってしまうことも考えられます。そこでまずは個人年金保険を解約した時に3つリスクについて一緒にみていきましょう。
1-1.解約返戻金が元本割れしまう
個人年金保険を途中で解約した場合、契約返戻金が契約者に支払われます。解約時に支払われる解約返戻金は契約期間が短いほど、それまでに支払った保険料よりも金額が少なくなってしまう可能性が高いです。解約返戻金が保険料よりも少なくなってしまうのには理由があります。保険会社に支払われた保険料は、全て積立金として運用されるわけではありません。保険料の一部は生命保険会社が運用のために必要な経費や手数料に充てられ、残りが積立金として運用されます。個人年金保険料を解約した場合、保険料から諸経費が引かれたものが解約返戻金として戻ってくるため、支払った保険料よりも解約返戻金が少なくなってしまいます。特に契約期間が短いほど積立金の運用期間が短く、運用益は少ないので解約返戻金として戻ってくる金額が払い込んだ保険料をよりも少なくなってしまう可能性が高いです。
1-2.個人年金保険料控除が利用できない
個人年金保険に加入している場合、ほとんどの方が個人年金保険料控除を利用しているかと思います。個人年金保険を解約することで、保険料の支払いがなくなってしまいます。それにより個人年金保険料控除の対象となる保険料がなくなり、控除が受けられなくなります。個人年金保険料控除では所得税なら最大で4万円、住民税なら最大で2万5千円まで控除を受けることが可能です。個人年金保険を解約することで個人年金保険料控除を受けることができなくなってしまうため、所得税や住民税が高くなってしまう恐れがあります。
1-3.解約返戻金に税金がかかってしまう恐れがある
一時払いで個人年金保険の保険料を支払っている場合、年金支払い開始前に解約してしまうと解約返戻金に税金がかかってしまう恐れがあります。保険会社に支払われた保険料は積立金として生命保険会社は運用し、積立金を増やしていきます。もし解約返戻金が支払った保険料よりも増えていた場合、その増えた分運用益が一時所得に該当してしまい、所得税の対象です。ただし一時所得は50万円までは非課税扱いのため、よほどの利益が出ていなければ心配ありません。
また所得税以外にも解約返戻金に税金がかかってしまうケースがあります。それが解約返戻金の受取人が、保険料の負担者とは別人の場合です。保険料の受取人と解約返戻金の受取人が別人の場合は、解約返戻金は贈与税の対象になってしまいます。他の贈与を含めて年間110万円までは非課税ですが、110万円を超えてしまった場合は贈与税に対象になってしまいます。そのため解約返戻金を含めて年間の贈与額が110万円を超えてしまう場合は、贈与税の課税対象になってしまうため注意が必要です。
2.保険料を支払いできない場合に解約せずにすむ方法
個人年金保険は途中で解約してしまうと解約返戻金が支払った保険料よりも少なくなってしまったり、個人年金保険料控除を受けることができなくなってしまうなどのリスクがあります。また個人年金保険は老後の生活資金を準備するためのものです。できれば解約せずすませたいですね。そこで次は保険料の支払いができなくなってしまった時の対処方法について紹介します。
2-1.払済保険に変更する
払済保険へ変更することで、個人年金保険を解約せずに残すことが可能です。月払いや年払いで保険料を支払っている場合は、払済保険に変更することで保険料を支払う必要がなくなります。ただし保険料の支払い期間まで保険料を支払った場合に比べ、積立金が少なくなってしまうので年金額が少なくなってしまいます。一度払済保険に変更してしまうと元に戻すことができないので、変更前に年金額がどのくらい減ってしまうか確認しましょう。個人年金保険料税制適格特約を付加している契約の場合は、契約から10年間は払済保険へ変更することができないので払い済み保険に変更する場合は事前にできるかどうか確認しましょう。
2-2.年金額を減額する
年額額を減額することで、保険料の支払い額を減額することが可能です。もし有料の特約を付帯している場合は特約を外すこと保険料の負担を軽減することもできます。ただし契約時の保険料を払い続けて場合に比べて、将来受け取ることができる年金額が減額されてしまいます。
減額したは解約にあたり、もし減額後に増額する場合は新たに加入することの同じです。そのため増額手続き時点での年齢や予定利率で保険料の計算がされるので、増額する場合は注意が必要です。年金額の減額手続きをする場合は、増額する時にリスクなど事前に確認してから行うようにしましょう。
2-3.自動振替貸付制度を利用する
自動貸付制度は銀行の自動引き落としなどで保険料が引き落とされない場合に、自動的に積立金の一部を保険料の支払いに充てる制度です。この制度を利用する時で一時的に保険料の支払いを止めて、個人年金保険を残すことが可能です。ただしこの方法は保険会社からお金を借りることになるため、貸付分に関しては利息がかかります。長期間この制度を利用し貸付金の総額が解約返戻金の総額を上回ってしまうと、自動貸付制度が利用できなくなり、保険契約が失効する危険があります。ただし契約が失効してしまっても、一定期間内なら復活手続きをすることで契約を元の戻すことが可能です。
2-4.契約者貸付でお金を借りる
子供の教育資金や、住宅購入の頭金のためにまとまったお金が必要な場合は、個人年金保険を解約して返戻金を受取るのではなく、契約者貸付を利用してお金を借りることもできます。契約者貸付制度は、解約返戻金の範囲で生命保険会社からお金を借りることができきる制度です。生命保険会社からお金を借り入れることのなるため、貸付金には利息がかかります。貸付金の返済は分割もしくは一括で返済することが可能です。もし年金支払い開始時点で貸付金が残っている場合は、貸付金分を減額して年金が支払われます。
3.年金保険を解約する時に確認しておきたいこと
個人年金保険を一度解約してしまうと、元に戻すことができません。また将来的に解約した保険と同じ条件で加入することも難しいです。そのため解約する時は慎重におこねう必要があります。そこで次は個人年金保険を解約することになった場合に必ず確認しておきたいことを紹介します。
3-1.解約返戻金の金額を確認する
まとまった資金が必要で個人年金保険を解約したのに、解約返戻金が足りなかったのでは意味がありません。変額個人年金や外貨建て個人年金保険の場合、解約のタイミングによって解約返戻金の金額が変動します。また解約しなくても契約者貸付を利用することで、必要な資金を準備することができる可能性もあります。そのためまとまった資金を準備するために解約を考える場合は、まずは解約返戻金の金額や契約者貸付で借りることができる金額を確認するようにしましょう。
3-2.解約返戻金の振込時期を確認する
銀行預金と違い、個人年金保険の場合は解約したらすぐに解約返戻金が振り込まれる訳ではありません。生命保険会社に解約の書類が届いてから、解約のために処理が全て終わってから指定口座へ解約返戻金が振込まれます。このように解約までいろいろな手続きが必要になるため3営業日以上はかかってしまうと思っていいでしょう。解約のために提出して用紙に不備があれば、解約返戻金の振込みまでにさらに時間がかかってしまうこともあります。このように銀行預金のようにすぐにお金を受け取ることができないため、解約の手続きをする場合は、なるべく早めに動くようにしましょう。
3-3.解約手続きに必要な書類を確認する
解約手続きに必要な書類は保険会社によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。通常解約手続きに必要なものは下記の通りです。
- 保険証券
- 契約時に使用した印鑑
- 身分証明書
- 解約返戻金の振込先口座の通帳
解約手続きに必要なものは保険の契約時の担当者に確認するか、もしくは各保険会社のカスタマーセンターへ確認し、解約に必要な書類があれば送付してもらいましょう。書類に不備や漏れがあった場合は、解約返戻金の振込が遅れてしまいます。特に郵送で手続きを行う場合は、郵送で書類をやり取りする必要があるため手間も時間もかかってしまいます。解約の手続きを行う時は、解約返戻金の金額と合わせて、必要な書類や書類に記入方法なども合わせて確認しましょう。
4.まとめ
個人年金保険は老後の資金を準備する保険です。そのため途中で解約してしまうと、解約返戻金が払い込んだ保険料よりも少ない場合が多く、損してしまうこと可能性が高いです。保険料の支払いが難しい場合は、年金額の減額や自動振替貸付制度。まとまった資金が必要な場合は自動振替貸付制度を利用することで解決できる場合もあります。もしこのような理由で個人年金保険の解約を考える場合は、まずは専門家に相談してから慎重に判断するようにしましょう。