個人年金保険の受取時の所得税を抑えお得に受取る方法

個人年金保険の受取金は課税対象です。受け取り時の状況によって課税される税金が異なるため、場合によっては思っている以上に税金が高くなってしまうケースがあります。できれば老後の生活を豊かに過ごすためにも、手取り額は多くしたいと思う人も多いでしょう。今回は税金を抑えて年金の受け取り額を増やすためのポイントについて紹介します。
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個人年金保険の場合受け取り時の状況によって課税される税金が変わってしまうため、場合によっては受け取り時に支払う税金が思っている以上に高くなってしまう可能性があります。そこで今回はできるだけ個人年金の受け取り時の税金を抑えるポイントについて紹介します。

1.年金受取時にかかる税金

個人年金の給付金を受け取る時に税金がかかってしまうのはご存知ですか。個人年金の給付金を受け取る時の税金は保険料を負担した人と受取人との関係や、個人年金の給付金の受け取り方によって課税される税金の種類が変わってしまいます。そこで今回はそれぞれのケースごとに課税される税金の種類について紹介します。

1-1.契約者と年金の受取人の関係による違い

個人年金保険の保険料の負担者と受取人が同じ人物の場合は所得税の対象です。個人年金保険の保険料の負担者と受取人が別人の場合は所得税と贈与税の対象になります。この場合、初年度は贈与税の対象に、2年目以降は所得税の対象です。ご主人が奥様の個人年金保険料を支払っている場合はこのケースに該当し、思っている以上に税金が高くなってしまう可能性があるため注意が必要です。

1-2.受取方法による違い

個人年金保険の場合、積立金を一括で受け取る一括受け取りの方法と、積立金を分割して受け取る年金の方法の2種類があります。実は受け取る方法によって課税される税金が異なります。一括で受け取る場合は一時所得の対象に、ただし保証期間付きの終身年金保険の時に保証期間分を一括で受け取る場合は雑所得の対象です。個人年金保険の保険料負担者と受取人が異なる場合、一時所得で受け取った場合は贈与税の対象になります。また年金で受け取る場合は雑所得の対象です。

2.年金受取時の所得税と贈与税の計算方法

税金の計算方法は税金の種類によって異なります。そこで次はそれぞれの税金の計算方法を一緒に確認していきましょう。

2-1.一時所得の対象となった場合

個人年金保険の積立金を一括で受け取った場合、受取金は一時所得の対象です。一時

所得は競輪や競馬などの公衆競技で得た配当金や、生命保険契約から支払われる死亡保険金、損害保険から支払われる損害保険金などが該当します。

一時所得の計算方法は、総収入ー必要経費ー特別控除(50万円)です。個人年金保険の場合受取る年金の総額が総収入に該当します。また必要経費は支払った保険料の総額に該当します。もし総収入から必要経費と特別控除を引いて0になってしまう場合は、一時所得によって課税されることがありません。一時所得は総合課税のため他の所得と合算し、合算額に所得税率をかけて計算します。ただし一時所得は他の所得に合算する時に一時所得の1/2だけ加えます。

2-2.雑所得の対象となった場合

雑所得は他の9種類の所得に該当しない所得のことを言います。他の9種類の所得には、事業所得、給与所得、退職所得、不動産所得、利子所得、配当所得、山林所得、譲渡所得、一時所得です。これらの所得に該当しないものは全て雑所得に該当します。個人年金保険における毎年受け取る年金は雑所得の対象です。雑所得の計算は総収入金額ー必要経費で計算できます。個人年金保険の場合の総収入金額は一年間で受け取る年金額の総収入です。必要経費は年金×払込保険料合計額/年金受取合計額で計算します。雑所得は総合課税のため他の所得と合算して所得税率をかけて計算します。

2-3.贈与税の対象となった場合

個人年金保険料の負担者と受取人が異なる場合は贈与税の対象です。贈与税の計算方法は、年金受取時の評価額(年金受給権評価額)に対して贈与税率がかけられます。解約返戻金の額、年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額、予定利率等をもとに算出した金額のうち一番多い額が年金受取時の評価額です。贈与税には基礎控除があり控除額は110万円です。年間の贈与額から基礎控除を引いた金額に対して贈与税率がかけられます。贈与税率は基礎控除後の課税価格が300万円以下で控除額が10万円、税率が15%。贈与税率は基礎控除後の課税価格が400万円以下で控除額が25万円、税率が20%と所得税に比べると、受取年金に対して高くなってしまいます。

3.年金受取時にできるだけ多く年金を受取る2つのポイント

個人年金保険から年金を受け取る場合保険料の支払い時と同じように、できるだけ所得税を抑えたいと考える人も多いでしょう。個人年金保険は2つのポイントを抑えることで、個人年金保険の年金を受取る時に税金を軽減することが可能です。そこで次に税金をできるだけ抑えて、できるだけ手取り金額を多くするために契約時に確認しておきたいポイントを紹介します。

3-1.契約者と受取人を同じにする

個人年金保険料の負担者と受取人を同一人物にすることで、贈与税の対象ではなく所得税の対象になるため受取時の税金の総額を抑えることが可能です。もし今加入している個人年金保険の契約者と受取人が別々の場合、できれば契約変更をしておくといいでしょう。ただし契約途中で契約者を受取人を同一人物へ契約変更したとしても、変更前の保険料支払い分の年金は贈与税の対象となってしまいます。

3-2.一時金ではなく年金で受け取る

一時金として受け取った場合の方が年金として受け取った方が所得税を抑えることができる可能性が高いです。しかし年金として受取る場合、受け取っていない分の積立金は契約時の予定利率によって運用されます。一般的に個人年金保険の予定利率は定期預金や普通預金の利率に比べると高いケースが多いです。また一時金で受け取った年金を投資信託などで運用した場合は、運用益に20%の税率が課税されます。そのためよほど運用に慣れていない方でなければ、結果的に年金で受け取った方が実際の年金受取総額が多くなる可能性が高いです。

4.まとめ

個人年金保険は年金の受け取り方によって、課税される税金が異なるためそれにより所得税などの税金額が大きく変わってしまいます。保険料の負担者である契約者と年金の受取人や、年金の受け取り方法は契約時に決めるため、加入時にポイントを抑えてしっかり確認するようにしましょう。

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