近年、死亡保険は定期保険や収入保障保険などの掛け捨て型が主流となっており、「死亡保障=掛け捨て」というイメージを持つ方が増えています。しかし、終身保険という掛け捨てではなく、貯蓄ができるタイプの死亡保険も存在します。ここでは、死亡保険の種類を整理した上で、解約返戻金や死亡保険金の傾向を見ていきます。
1.生命保険の相場|死亡保障はどれくらい必要か
死亡保険について考えるためには、必要保障額や万が一のときの公的制度について知っておく必要があります。ここでは、家族構成別の必要保障額と遺族年金の仕組み、保険の役割を解説していきます。
1-1.家族構成別に見る必要保障額
まず、家族構成を4つのタイプに分けて死亡保険の必要保障額を見ていきます。
1-1-1.独身の場合
独身の場合の必要保障額は200万円〜500万円程度です。独身で扶養家族がいなければ、基本的には大きな死亡保障は必要ありません。高齢の親に負担をかけずに葬儀代だけ準備しておきたいという場合には上記の金額で十分でしょう。
ある程度の貯蓄があれば保険で準備する必要のない金額なので、保険よりも貯蓄などを優先すべき時期と言うことができます。
1-1-2.子どもなし共働き夫婦の場合
子どものいない共働きの世帯の必要保障額は200万円〜1,500万円程度です。
お互いに収入があるため、大きな保障は必要ありませんが万が一の場合には、残された側の住居などが変わってくる可能性も考えられるため、生活環境の変化などを考慮して最低限の保障は必要と言えます。そのため、独身世帯に比べると必要保障額の幅が広がります。
1-1-3.子どもあり片働き夫婦の場合
一家の大黒柱が亡くなった場合の必要保障額は最低でも2,000万円〜3,000万円は必要です。さらに、子どもの進学プランや年齢に応じて教育資金を上乗せする必要があります。
1-1-4.母子世帯の場合
母子世帯の場合の必要保障額は3,000万円が目安となります。親にもしものことがあった場合に、経済的に頼ることができる身内がいないことも考えられるため、4つの家族構成の中で最も手厚い死亡保険が必要です。
1-2.遺族年金の仕組み
一家の大黒柱にもしものことがあったときに、残った配偶者(主に妻)と子に支給される公的保障が遺族年金です。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の二つの種類があります。それぞれの仕組みや対象者を説明します。
1-2-1.遺族基礎年金とは
遺族基礎年金は、国民年金加入者を対象としており、自営業、会社員、公務員のすべてが対象となる遺族年金です。18歳未満の子どもがいる家庭で受け取ることができます。子どもの加算があるため、子どもの人数によって支給額は異なります。子ども一人の場合は年額100万3,600円、二人の場合は122万7,900円となります。
1-2-2.遺族厚生年金とは
遺族厚生年金は、厚生年金加入者を対象とした遺族年金です。そのため、対象者は会社員と公務員に限られ、自営業者は対象外となります。自営業者よりも会社員や公務員の遺族年金が充実しているというのは、この二階建て部分と呼ばれる遺族厚生年金があるからなのです。
遺族厚生年金は、子どもの有無に関わらず、亡くなった方のそれまでの給与によって金額が決まります。平均標準報酬月額が30万円だった場合には、年間39万円程度の遺族厚生年金を受け取ることができます。遺族基礎年金のような子の加算制度はありません。
1-3.保険でできること
家族構成ごとの必要保障額と遺族年金の仕組みを見てきましたが、今すでにある貯蓄と遺族年金で必要保障額を賄うことができるというケースは稀でしょう。多くの家庭で、必要保障額をカバーできる貯蓄額がないというのが現状です。
貯蓄で必要保障額を準備するには膨大な時間が必要になりますが、生命保険を使うと多くの場合、契約が成立したその日から必要保障額を備えるということが可能です。これが保険に加入するメリットです。
特に小さな子どもがいる世帯や、子どもの人数が多い世帯では、必要保障額が大きくなるため、保険に加入している家庭が多くなっています。
2.積立型死亡保険(終身保険)の種類と特徴
前章では、家族構成ごとの必要保障額を確認し、万が一に備えるために保険が有効だということを見てきました。ここからは、保険の種類について見ていきます。
まず、掛け捨てではない死亡保険である終身保険について種類や特徴を解説していきます。
2-1.終身保険の種類
終身保険は大きく分けると低解約返戻金型終身保険、積立利率変動型終身保険、外貨建て終身保険の3つに分類することができます。順に特徴を見ていきます。
2-1-1.低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、契約時に設定する保険料払込期間(積立期間)中の解約返戻金を低く抑え、その分払込期間満了後の解約返戻金を高く設定している終身保険です。
従来は、徐々に返戻率は上がっていくものの、払込期間中と払込期間満了後にそれほど大きな差のないタイプの保険が主流でした。しかし、低金利の影響でそのような保険ではなかなか返戻率が100%を超えてこないため、低解約返戻金型終身保険が人気になってきたという経緯があります。
払込期間中に解約をすると大きく元本割れをするというリスクはありますが、その期間さえ問題がなければ貯蓄と保障をバランスよく兼ね備えることが可能です。
2-1-2.積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、あらかじめ予定利率が定まっている低解約返戻金額終身保険とは異なり、数年おきにそのときの利率水準に応じて利率が変動するタイプの終身保険です。
今現在はマイナス金利政策の影響もあり、相対的に見て金利が低い時代と言うことができます。この低利率の相場環境で一生涯の保険の利率を固定したくないという方には数年置きに利率が見直しされるこちらのタイプがおすすめです。ただし、商品数自体が少なく選択の幅は低解約返戻金型終身保険よりも狭くなります。
2-1-3.外貨建て終身保険
外貨建て終身保険は、契約者が支払った保険料を保険会社がアメリカドルなどの外貨で運用することによって、円建て保険では実現できない高利率を得ることができる終身保険です。日本の金利は先進国の中でも最低レベルの水準です。一方、アメリカドルなどは近年利上げの影響もあり3%などの高利率での運用が可能となっています。
ただし、利率は高いですが、円で支払った保険料を外貨に替え、保険金や解約返戻金受取時には外貨から円に戻すという過程が必要となるため為替リスクがあります。為替相場によっては高利率で増えた割合以上に損失を出してしまい、結果として元本割れになるリスクもあります。タイミング勝負という性質もあるため、ある程度余裕資金がある方におすすめする終身保険です。
2-2.終身保険のメリット
終身保険の最大のメリットは、掛け捨てではないため、保障を備えながら貯蓄ができるということです。一定期間保険を続けることで支払った保険料以上の解約返戻金を期待できるものもあり、中には銀行預貯金以上に増やすことができる商品もあります。
また、保険料は加入時より生涯変わらないため、将来の資金計画が立てやすいというメリットもあります。
2-3.終身保険のデメリット
終身保険のデメリットは、保険料が高いため、家計を圧迫する可能性があるということです。
支払うことができる保険料の予算の都合上、終身保険では必要保障額を用意することができないケースもあります。
また、中途解約をするとタイミングによっては解約返戻金が非常に少ないということもあります。加入時に作成してもらうことができる設計書には、経過年数ごとの解約返戻金が記載されているのでそちらをよく確認するようにしてください。
3.掛け捨て型死亡保険の種類と特徴
終身保険に続いて、掛け捨て型死亡保険の種類や特徴を見ていきます。
3-1.掛け捨て型死亡保険の種類
掛け捨て型死亡保険は、定期保険、収入保障保険、逓減型定期保険の3つがあります。順に特徴を見ていきます。
3-1-1.定期保険
定期保険は、10年や15年などの一定期間中の死亡保険を用意する掛け捨ての保険です。期間限定であることや掛け捨てであることから割安な保険料で大きな保障を用意することが可能です。
年齢によって大きく保険料が異なってくるため、若い時期には終身保険に比べて格段に安い保険料となりますが、高齢になるにつれて終身保険とほぼ同額もしくはそれ以上の保険料となってくるのが特徴です。
3-1-2.収入保障保険
収入保障保険は、60歳や65歳などの保険の終期を決めて加入するタイプの死亡保険です。もしものときには家族に終期まで年金形式で一定額の保険金が支払われるようになっています。年金形式で受け取ることができる死亡保険金総額は毎月一定額ずつ減っていく仕組みになっています。保険期間中ずっと一定額の保障を得ることができる定期保険との大きな違いは、この保険終期までの残り期間に応じて受取年金総額が減っていくという点ですが、その分保険料も割安になります。
その名の通り、一家の大黒柱が亡くなったことによって途絶えてしまう収入の足しというイメージの保険です。
3-1-3.逓減型定期保険
逓減型定期保険は、保険期間中一定の逓減率で保険金額を減らしながら継続していく保険です。
収入保障保険との大きな違いは、収入保障保険が万が一のときには年金形式で保険金受取をするのに対して、逓減型定期保険は一括受取となるということです。
また、収入保障保険は月々の年金額を決めて契約をするのに対し、逓減型定期保険は逓減率を設定して契約するという違いもあります。
収入保障保険と比較すると保険料は高くなる傾向があり、取扱い保険会社も少ないのが現状ですが、一括受取をしたい場合や逓減率をご自身で選択したい方におすすめのタイプです。
3-2.掛け捨て型死亡保険のメリット
掛け捨て型死亡保険のメリットは、終身保険に比べて保険料が格段に安いことです。インターネット専用の保険など、さらに割安で加入できる商品も登場しており、割安な価格で大きな保障を用意しやすくなっています。また、保険会社によってはタバコを吸わない方への保険料の割引もあり、各社保険料を比較することで割安さを追究することも可能です。
3-3.掛け捨て型死亡保険のデメリット
掛け捨て型死亡保険のデメリットは、契約期間が決まっているため、その後も継続したい場合には保険料の大幅な値上がりが予想されるということです。
期間限定で加入すると決めている場合は問題ありませんが、更新を前提としている場合には、更新後も払い続けていくことができる金額なのかということをしっかり考えた上で掛け捨て保険に加入するのがおすすめです。
4.三大死亡保険の比較
ここまで、死亡保険の種類を積立タイプ・掛け捨てタイプ別に確認してきましたが、現在最もよく活用されている三大死亡保険は、低解約返戻金型終身保険、定期保険、収入保障保険の3つです。ここでは、これら3つの保険の違いを比較しながら解説していきます。
4-1.解約返戻金
三大死亡保険の中で解約返戻金があるのは、低解約返戻金額終身保険のみです。
低解約返戻金額終身保険では、保険料払込期間中の解約返戻率は50%から70%と大きく元本割れをしてしまいますが、払込期間を無事終えることができれば払込保険料以上の解約返戻金を受け取ることができるものもあります。
4-2.毎月の保険料の傾向
毎月の保険料は、最も割安な傾向があるのは収入保障保険、次いで定期保険、最も高額となるのが低解約返戻金額終身保険です。
収入保障保険は、経過年数とともに死亡時の受取総額が小さくなっていくことから割安となります。
4-3.死亡保険金額の規模
一契約ごとの死亡保険金額の規模は、収入保障保険、定期保険、低解約返戻金型終身保険の順に小さくなっていく傾向があります。
年齢にもよりますが、低解約返戻金型終身保険では、基本的に子育て世帯などで一家の大黒柱の死亡保険を十分に準備することは難しいと言えます。そもそも保険料が割高で、2,000万円や3,000万円などの高額な死亡保険を用意するには不向きな保険なのです。
低解約返戻金型終身保険を活用したい方で、1,000万円を超える死亡保険が必要という場合には、1,000万円を超える部分は定期保険で補うなど上手に掛け捨て保険を組み合わせる工夫をすることがおすすめです。
5.掛け捨て保険に向いている世帯
ここまで、終身保険と掛け捨てタイプの保険について整理してきましたが、いざご自身の保険を選ぶとなったときにどちらが良いのか迷ってしまう場合もあるかもしれません。ここでは、掛け捨て保険に向いている世帯について解説していくので保険選びの参考にしてください。
5-1.子どもが多い、または子どもが小さい
子どもが多い世帯や、子どもが小さい世帯では、一般的に必要保障が高額になります。そのため、割安な保険料で多額の保障を備えることができる掛け捨ての保険が向いています。掛け捨てはもったいないと考えて死亡保障を用意しないより、子どもが成長し必要保障額が減るまでは掛け捨て保険を利用するという割り切りも大切です。
子どもがいる場合の死亡保障額は子どもが独立するまでの残り年数とともに減っていくので、収入保障保険を活用するとより効率が良く必要保障額を備えることができます。
5-2.収入が低い、または月々の支払いに余裕がない
収入が低い場合には、保険料はできるだけローコストで抑える必要があります。そのため、掛け捨て保険で必要保障額を準備し、浮いた分は貯蓄に回すという方法がおすすめです。終身保険では、資金が必要になった場合に中途解約をしなければならず元本割れのリスクがありますが、貯蓄であればその心配がないので急な出費にも対応が可能です。
5-3.貯蓄はすでに保険以外の方法で行っている
銀行の預貯金の利率で満足している場合や、金融商品に詳しく投資信託や外貨建て商品などを活用するなど何かしらの方法で貯蓄をしている場合には、終身保険の貯蓄機能の必要性は低いと言えるでしょう。
この場合にも、掛け捨てタイプの保険で死亡保障に特化することがおすすめです。
5-4.終身保険の利回りに魅力を感じない
終身保険は、長年保険の形で置いておくことによって銀行預金よりも高い利回りが期待できますが、それでもやはりマイナス金利政策下では魅力ある利回りとはほど遠いというのが多くの方の意見です。
終身保険は中途解約による元本割れのリスクがあり、一度加入すると見直しをするのが困難です。利回りに魅力を感じないのであれば、あえてリスクを取ってまで終身保険に加入せずに、まずは掛け捨て保険で最低限の死亡保障だけ備えるという方法が適しているでしょう。
5-5.独身者など見直しを前提に加入する
扶養家族がいない場合、死亡保障の必要性はそれほど高くはありません。保険に加入しないというのも一つの方法ですが、もし最低限の死亡保障は備えておきたいと考えるのであれば定期保険が最も活用しやすいと言えます。今後家族構成が変わった場合にも、臨機応変に見直しができるためです。定期保険の保険期間は、5年や10年といったものが多いですが、中には1年ごとに更新といったタイプもあり、そう遠くない将来結婚の予定があるといった場合にもつなぎの保険として使い勝手が良いです。
6.終身保険に向いている世帯
続いて、終身保険に向いている世帯について説明していきます。
6-1.毎月の生計費に余裕がある
毎月の生計費に余裕があるというのは、終身保険に加入するための第一条件でもあります。10年以上の長期間の積立の継続が可能であれば、掛け捨ての保険にするよりも貯蓄性のある終身保険にする方が保障を備えつつも貯蓄ができるという点で一石二鳥と言うことができます。
6-2.掛け捨てはもったいないと考えている
前章で見てきたように、掛け捨て保険が向いている家庭もあるのは確かですが、掛け捨てがもったいないと考えている場合には、終身保険が向いています。
インフレリスクはあるものの、解約返戻金が100%を上回っている状態で解約できれば死亡保障を付けたことによって掛け捨てとなった保険料はゼロと考えることができます。
6-3.使途はないが銀行の積立定期預金をしている
使途のない積立定期預金を漠然と何年間も継続している方にも、終身保険は向いています。例えば、毎月3万円定期預金として積み立てている資金の一部を終身保険とすることで死亡保障をプラスしながら、貯蓄よりも多少良い利率で積立をすることができるのです。
6-4.葬式代は自分で準備して家族に迷惑をかけたくない
終身保険を契約すると、中途解約をしない限りいつかは必ず遺族が死亡保険金を受け取ることができます。
最近多い終身保険の活用方法は、200万円程度の死亡保険を葬儀代として家族に残すというものです。子どもたちなど家族に迷惑をかけたくないというのが終身保険加入の動機として多いのです。最近よく聞くようになった「終活」の一つとしても人気があります。これまで手を出していた金融商品からは手を引いて資産を整理し、その代わり少額の終身保険のみに加入し、遺族がすぐに現金化できる資金を用意するというものです。
6-5.具体的な目標貯蓄額と期限が決まっている
子どもの学資金、老後資金などのように具体的な貯蓄目標や、いつまでに貯めるなどの期限が決まっている場合にも終身保険はおすすめです。
契約時に保険料払込期間や金額を設定することで、何年後に解約するといくらになるということがあらかじめわかるため、計画的な貯蓄に向いています。毎月決められた日に口座引き落としかクレジットカード払いで強制貯蓄をしていくこととなるため貯める仕組みを作ることができます。
7.死亡保険金|よくある疑問
最後に、死亡保険金全般や終身保険についてよくある質問をまとめています。
7-1.終身保険を解約するときの税金の扱いはどうなるか
終身保険を中途解約したときに利益が出ていた場合の税金の扱いに関する質問は多いです。
1990年代後半以降に加入した終身保険であれば、ほとんどの保険が課税対象外となりますが、ルールを簡単に解説します。
一般的に、保険料支払いをする契約者と解約返戻金の受取をする人は同一人物となり、解約によって出た利益は一時所得の対象となります。
一時所得は、特別控除として50万円を差し引くことができるため、解約返戻金から実際に支払った保険料総額を引いたときの差益が50万円を超えていなければ課税対象にはなりません。
一方で、50万円以上の利益が出た場合には、「[(解約返戻金—支払保険料)—50万円]×1/2」という計算式になり、特別控除50万円を差し引いた金額の半分が一時所得として課税対象になります。その場合は、確定申告が必要になります。
7-2.死亡保険金を受け取るときの税金の扱いはどうなるか
死亡保険金を受け取るときの税金の扱いは、契約形態や被保険者との関係によって異なります。
最も一般的なパターンである契約者=被保険者の場合で保険金受取人が法定相続人である場合について説明します。このケースでは、保険金は相続税の対象となります。生命保険には非課税枠があり、「法定相続人の人数×500万円」が非課税となります。法定相続人が妻と子ども二人であった場合には、1,500万円までが非課税となります。
非課税枠を超えた場合でも、その他の相続資産(銀行預金や不動産等)の金額が「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で算出される相続税の基礎控除以内であれば税金は発生しません。
このように、死亡保険金には相続資産の非課税になる範囲を多くする効果があるため、資産が多く相続税の課税対象となりそうな場合に節税手段として使われることもよくあります。
一方で、契約パターンが上記以外だった場合には注意が必要です。契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ異なる場合(契約者=父、被保険者=母、保険金受取人=子など)や、保険金受取人が法定相続人以外の場合には贈与税の扱いとなってきます。
贈与税の基礎控除額は110万円と非常に小さく、税率も相続税に比べて高くなっているため金額によっては受け取った保険金の半分近くの税金がかかってくることもあります。
7-3.死亡保険金受取人は変更できるか
死亡保険金受取人は、契約者本人による手続きと被保険者の同意があれば変更が可能です。しかし、前項で見てきたように、贈与税の対象となるような変更とならないよう注意が必要です。
保険金受取人は複数人の指定ができるので、兄弟に平等にお金を残したい場合などは、二人兄弟であれば50%ずつにするなど残された家族がお金のことで揉めないように配慮をするとベストです。逆に、理由があって受取割合をあえて平等にせず70%と30%など自由に設定がすることも可能なため、「お金に宛名をつける」という効果もあります。
8.まとめ
死亡保険には、掛け捨てタイプだけではなく貯蓄も同時にすることができる終身保険もあるということを解説してきました。
低解約返戻金型終身保険などの積立タイプ、定期保険や収入保障保険などの掛け捨てタイプには、いずれも向き・不向きがあり、どちらに加入するのがベストかというのはそれぞれの家族構成や経済状況、加入動機によっても異なります。
また、保険料や解約返戻金の仕組みなどの商品性も大きく異なっているため、単に「掛け捨てはもったいないから積立タイプ」と選んでしまうと後々保険料を支払うことが難しくなってしまい結果的に損をするということも考えられます。
終身保険に加入する際には特に慎重な判断が必要となるので、専門家に相談することもおすすめです。